名作『あの夏のルカ』の雑感

こんにちは、うぉるぱです。

 

6月18日に『あの夏のルカ』がディズニープラスで配信されました!

非常に非常に良い作品だったので、ざっくりと感想を書いていきたいと思います。

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ここからはネタバレありで書いていきます。

まだ見ていない方はぜひ見てからまたお越しください!

 

ディズニープラスに入ってる方は追加料金なしで見れますし、まだ入ってない方も1ヶ月の無料お試しで観れるのはとてもお得だと思います!(ディズニープラスの回し者ではありません笑)

個人的には3000円払って観たいくらいの作品でした。

 

  

描写

エンリコ監督『La Luna』(『月と少年』)の描き方がすごい好きなので、今作もとても素敵な描かれ方をするんだろうなと思ってましたが想像以上に最高でした。

 

まず冒頭のシーモンスターたちの暮らしが描かれるシーンはピクサーお家芸という感じで、人間とは違うけど似たような要素があることで親近感を感じさせる描き方がさすがでしたね。

海藻の農業みたいなのと魚の牧羊みたいなのが面白かったです。

それにしても服が藻で作られていたり海中農業とかは、ネモ船長を想起させましたね笑。 

 

あとはセリフなしで曲だけで時が進んでいく描写は本当に大好きです。

カールじいさんの空飛ぶ家とかのあのシーンとかも超好きですけど今回も最高でした。

 

個人的に一番美しかったと感じた描写は、月を背景にルカとジュリアが歩いているシーンですね。

『La Luna』の要素も感じられつつ、美しい情景に惚れ惚れしました。

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月を空飛ぶイワシだと思って一緒に飛ぶ空想のシーンは、Netflixで配信されているグレン・キーン監督『フェイフェイと月の冒険』(『Over the Moon』)に似た世界観だなと感じました。

空想シーンはこのシーン以外もすごい魅力的で、小さい時特有の色々考えちゃうのが昔を思い出させて懐かしい気持ちになりました。

 

またキャラを怖く描く演出も伝統的な手法でありながら非常に良かったと感じました。

ヴィランエルコレが銛を持っているシーンで雷がドーンと落ちたり、アルベルトシーモンスターに変身するところで夕日がバックになったりする描き方もとても好きでした。

 

あと気になったのは魚達の中でジュゼッペという魚が逃げようとしている描写ですかね。

ルカは親に縛られた存在でありましたが、また同時に強くではないものの魚達を縛っている存在でもありました。

エンドクレジット後にウーゴおじさんと深海で話していたのは、きっとジュゼッペだったのではと思いました。

魚達がルカと同じように外に出たい気持ちを持って、最後には広い世界へと旅に出るのが興味深い描き方だなぁと思ったりもしました。

 

キャラクター

ルカアルベルトのお互いに無い物を持ってるからこそ惹かれ合い、違う性格だからこそぶつかり合うみたいな部分は比較的よくある設定ではありますが、物語に深みを持たせていたかなと思います。

ルカ視点で見るのとアルベルト視点で見るのとで2回楽しめるのがいいですね。

またルカの周辺でわかりやすく恋愛模様を描かなかったのも個人的にとても良かったと感じました。

 

あとはお父さん(マッシモ)がとてもとてもいい人でしたね。

予告を見る限りは怖い人のように映っていましたが、これも見る側の偏見だったなと反省しました。

アルベルトがいなくなった時にはすぐ探しに行ったり、娘の応援を全力でしたりと素敵なお父さん過ぎて大好きでした。

右腕が生まれつきないという障がいを持っていながらも、街で一番のシーモンスターのハンターとして活躍している様子が、今まで障がいのある人が主要な役として描かれてこなかった背景を踏まえてとてもいい傾向だと感じました。

 

あとここがいいなぁと思ったのはルカとおばあちゃんの関係ですね。

孫と祖父母の関係性が親子間とは違う冗談を言い合えるような関係であることを「冗談関係」と言いますが、その関係って苦しい親子間の関係性を緩和させてくれるものですよね。

モアナでもこの関係が描かれていましたが、自分と亡くなった祖母との関係性を思い出して少しエモくなりました。

 

邦題

今回『あの夏のルカ』という邦題だったので、『クルエラ』のように主人公が自らの過去を振り返りながら話が進んでいくのかと思っていましたがそうではなかったですね。

『Luca』 だけでは伝わりにくい夏らしい雰囲気をタイトルに載せていたのは非常にいいと思います。

「あの夏の」という表現が、ルカが大人になってからも絶対忘れないような夏にも思えますし、観客側がそれぞれの懐かしきあの夏と重ねられるようにも取れるので非常にいい邦題だと感じました。

 

考えたこと

今回はやはりテーマとして多様性差別や偏見をなくしたいという思いがあって、その中で人間とシーモンスターがうまく描かれていたなぁと思います。

物語が進む中でお互いが敵対し合うキッカケとなった事件が登場するのかと思っていました。

しかし、そのようなキッカケは何もなしにただ恐ろしい存在だと勝手に思って敵対をしていたのがとても印象的でした。

知らない存在に対して根拠のない敵対心を抱いているだけという状況が1番怖いと感じました。

実際の人間社会においても人種やジェンダーにおいて根拠なしに差別意識を持っている人は残念なことに多くいる現状がありますし、そういう人にこの作品でメッセージが届いていればなと思います。

他人事のように書いてしまいましたが、自分も知らないうちに何かに対して偏見を持ってしまう可能性も十分あります。

やはり無知であることがそのような偏見や差別意識を持ってしまうことに繋がってしまう事が多いと思うので、無知を自覚して積極的に知ろうという姿勢が大事ですよね。

その点でルカが好奇心旺盛で勉強したいという流れになったのもとても良かったと思います。

加えてメッセージ性が教訓感満載過ぎなかったのも非常に好印象でした。

 

勝手な妄想

シーモンスター達もイタリア系の名前が付いていることに少し違和感を感じました。

しかし、それはもしかすると昔は陸と海が1つの世界だったりしたのかなと思ったりもしました。

人間とシーモンスター結婚することも当たり前にあったからこそ、シーモンスターの名前もイタリア系なのかなと勝手に考えたりしました。

もしくはおばあちゃんみたいに陸にたまにいく人が、人間の名前を気に入って名前につけたりしたんですかね。

色々と想像が膨らみます。

  

最後に

全体として『リトル・マーメイド』・『モアナと伝説の海』・『ズートピアなどの作品の良いところを凝縮した部分もありつつ、イタリアの舞台を存分に活かした今までにない最高の作品に仕上がってましたね。

メディテレーニアンハーバーを思わせる情景とパスタサッカーのシーンが個人的にはお気に入りでした。

そしてドキドキ感ワクワクを感じさせる展開に胸を踊らせ、最後には涙を流さずにはいられない最高のストーリーでした。

ピクサー作品の中でも大好きな作品の一つになりました。

 

また多くの方がジブリっぽいと言っていたのですが、恥ずかしながらジブリ作品に疎いためその要素を感じ取れなかったのが残念だったので、ジブリ作品をたくさん見てからまた見直したいと思います。

 

今回もブログを読んでくださりありがとうございます。

最近は頑張って更新頻度上げてますので、これからもたくさん読んでくださると非常に嬉しいです。